「Flow Machines」 ×「Soundmain Studio」を活用した作曲手順のご紹介【初級編】

ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)が開発する、音楽制作に携わるクリエイターの作業効率を向上させ、創作活動を支援する音楽制作プラットフォーム「Soundmain」。

そのサービスの一つであるSoundmain Studioは、Webブラウザで利用できる音楽制作サービスです。ソフトウェアをインストールせずとも、Webブラウザ上でSoundmainの提供する音源素材をドラッグ&ドロップでタイムラインに配置することで音楽制作ができます。プロの作家はもちろん、作曲経験のない方やDAWに抵抗がある方でも手軽にご利用頂けるサービスです。

Soundmainホームページ:https://soundmain.net/

Sony CSLが開発を手がけるAI作曲ツール「Flow Machines」と合わせて利用することで、これまでになく手軽に楽曲制作を行うことが可能になります。

ここでは、自身の楽曲制作にSoundmainやFlow Machinesを使ってみたいという方や作曲を始めたての方向けに、2つのツールを組み合わせて手軽に作曲する方法をご紹介します。

Flow Machinesでメロディ、コード、ベースラインを生成

初めにFlow Machinesを使ってメロディー、コード、ベースラインのMIDIデータを作っていきます。

YouTubeのチュートリアルからも操作説明を閲覧頂けます。

① App StoreアプリよりFlow Machinesをダウンロードし、お持ちのGoogle / Twitter / Facebook / Appleのアカウントを使ってサインイン

対応OS:macOS Big Sur 11.0以上 ※Windowsは非対応です。

② Style Paletteが表示されます。Pop・Jazzなど音楽ジャンルによって異なるメロディの特徴をとらえた100種類以上のプリセットを展開しており、各スタイルパレットが学習した楽曲データに基づいて新しいメロディを提案してくれます。

今回はStyle Palette ”Slow Pop”を選択し、OKをタップします。

③ 生成されたメロディが表示されます。画面上中央の「compose」ボタンをタップすると、選択したコード進行に合わせて8小節ごとに新たにメロディが生成されます。

④ 生成メロディを好みに合わせて微調整します。ここではコード進行に沿ったシンプルなメロディにするために、画面左上のHarmonyを1.0、Durationを0.5、Complexityを0と指定し、Composeボタンをクリックします。

⑤ キーを高く、テンポを遅くするため、画面右上でKeyをC majからA majに、テンポ(BPM)を86から82に設定します。

⑥ メロディをMIDI形式で書き出します。「Export MIDIボタン」をタップすると、書き出し先を指定して「FlowMachinesSong.mid」というStandard MIDI file形式のファイルが生成されます。

DAWにMIDIファイルを読み込み、WAV, MP3ファイルに書き換え 

「FlowMachinesSong.mid」は、GarageBand, Cubase Pro, Logic ProなどのDigital Audio Station(DAW)へDrag&DropするとMELODY/CHORD/BASSのMIDIトラックとして利用できます。Soundmain上ではMIDIファイルではなくWAV, MP3ファイルを使用するため、DAW上でWAVファイルに書き換えていきます。

GarageBandをご使用の場合、「共有」→「曲をディスクに書き出し」を選択し、書き出し先ファイルを指定、書き出し形式をWAVもしくはMP3ファイルと指定して書き出します。

Soundmain Studioで編曲

Soundmain Studioを使って、先ほどFlow Machinesで生成した曲を編曲していきましょう。Soundmain Storeの音源素材(サンプル)をドラッグ&ドロップでタイムラインに配置していきます。

① アカウントを作成して会員登録、もしくはログイン

Soundmainホームページ:https://soundmain.net/ 

※Soundmain StudioはGoogle Chromeのみ対応

② 画面上「STUDIO」タブをクリックし、Soundmain Studioを開きます。

画面左上の「チュートリアル」からも操作説明を閲覧頂けます。

③ New Projectをクリックし、新規作成画面でプロジェクト名を入力します。

④ Flow Machinesで生成したWAVファイルをドラッグ&ドロップしてSoundmain Studioに読み込みます。ここからサンプルを追加して編曲していきましょう。

⑤ 画面右下の「Sounds」→「Browser」をクリックすると、付属のサンプルパック “Future Pop”, “Future Hip Hop”, “Techno Pop”, “Future Dance Rock”が表示されます。さらに他のサンプルを利用したい場合は、毎月付与されるポイントを利用して「Store」から10-20P単位でご購入頂けます。

ここではDisco Retro Pop、Lofi guitar wavesからギターやドラムの音を購入して使用していきます。

⑥ 再生ボタンで視聴しながら、ドラム、ギター、SE/FXなど使いたいサンプルを画面にドラッグ&ドロップし、サンプルを各トラックに並べていきます。

⑦ 使用するサンプルが決まったらアレンジをしていきます。サンプルを選択した上で右クリックすると、「コピー」や「削除」が可能です。トラックを分割したい場合、画面上のルーラタイムライン上で分割したい箇所を指定し右クリック→「分割」を選択します。

⑧ サンプルのピッチを楽曲のA majorに合わせるため、サンプルを右クリック→「Pitch」を選択し、キーを調節します。

⑨ サンプルのBPMを楽曲に合わせるため、サンプルを右クリック→「Stretch」から「Original BPM」にサンプルのBPM 88を、「Resulting BPM」に楽曲のBPM 82を入力します。

⑩ 楽曲が完成したら、画面左上「ラフミックス/バウンス」をクリックしてWAVファイルを書き出します。

完成したサンプル音源は以下の通りです。

Slow Pop

AI作曲アシストツール「Flow Machines」とWeb音楽制作サービス「Soundmain」を活用することで、以上のようにこれまでになく手軽に楽曲制作ができるようになります。ぜひご自身の楽曲制作に取り入れてみて下さい。

次回は、Flow Machines × Soundmainを活用した作曲上級者編をお届けします。