【イベントレポート】InterBEE 2023特別講義

特別講義「AI ・機械学習が創り出す新しい音と音楽」を開催

2023年11月15日から3日間に渡り開催された音と映像と通信のプロフェッショナルが国内外から一堂に会する国際展示会 Inter BEEの特別講義「AI ・機械学習が創り出す新しい音と音楽」にて、Flow Mashinesを始めとするSonyCSLのAI楽曲制作・分析ツールの紹介を行いました。

本講義ではテレビ朝日技術局設備センターの安倍氏がモデレーターを務め、パネリストとしてメディアインテグレーションROCK ON PRO プロダクトスペシャリストの前田氏、ヤマハ研究開発統括部 主事(リサーチャー)の鈴木氏、ソニーCSL プロジェクトエンジニアの岸が登壇を行いました。

メディアインテグレーション前田氏:海外製品におけるAIや機械学習の動向

講義のトップバッターはメディアインテグレーション前田氏がつとめ「海外製品におけるAIや機械学習の動向」についてのレクチャーを行い、AIにまつわる基礎知識をはじめ、音声・音楽・効果音・音声処理に主軸を当てた生成AIの実際の活用事例が紹介されました。

ソニーCSL 岸:機械学習を使った新しい音楽生成、Deep Learningを用いたドラム音生成と音楽解析技術の紹介

ソニーCSL岸からは、具体的な制作プロセス上でどのようにAIツールを使用することができるのかといった点に主軸をおいたレクチャーが行われました。ソニーCSLで開発・社会実装を行っている機械学習を使ったメロディ生成ツール「Flow Machines」やディープラーニングを使ったドラム音生成ツール「DrumGAN」のほか、楽曲の解析に特化したツール「Deep12」がソニー・ミュージックパブリッシングの音源ライブラリーサービス上でどのように活用されているかの事例も紹介し、来場したメディア・音響関係者の関心を引きつけました。

終盤にはSony Musicのアーティスト・作家がAIを駆使しながらリリースを行った楽曲の例が紹介され、より一層今後のクリエイティブ産業におけるAIの将来性を予測させる結果となりました。

ヤマハ研究開発統括部 鈴木氏:楽曲制作や楽器演奏をサポートする編曲・楽譜AIの研究事例

最後のパネリスト、ヤマハ研究開発統括部の鈴木氏は「楽器演奏と楽曲制作」の2つの領域におけるヤマハのAI研究事例についてレクチャーを行いました。

近年楽曲の好みが多様化し、弾きたい楽曲の楽譜がないというケースが消費者間でよくあることから、その解決策としてdeep learningを使用して楽曲のデータからフルスコアとアレンジスコアを生成をする技術の開発を行っている旨が紹介されました。さらに、同技術では演奏者のレベル感に合わせたスコアの生成も可能となっており、初心者が楽器の難しさにつまづいてしまうのを上手くサポートしてくれるような技術であるとの解説を行いました。最後に、音楽分野の人工知能について、人間とAIの関係を適切に考慮し、設計することが重要であると強調し、AIの活用が進む現代において技術者が持つべき姿勢に触れました。

最後に

講義の締めくくりには、3名のパネリストがそれぞれ「今後チャレンジしたいこと」について語り、参加者と共有しました。各パネリストは、それぞれの将来に対する意気込みを披露し、これからの日々においてもさらなる成長と挑戦を追求していく姿勢を示しました。

今回の特別講義の聴講者含む皆が今後も未知の領域に果敢に挑むことで、個々の成長がもたらすポジティブな影響が広範なコミュニティや社会に波及していくことを期待します。

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https://www.inter-bee.com/ja/forvisitors/conference/session/?conference_id=2373